さとやまで開催されたイベントの報告(2023年4月〜2023年9月)です。2019年2月以前はこちら
夏の生きもの観察⑤草はらの昆虫(参加37名)
記録的猛暑が9月に入っても収まらず、暑さ覚悟の観察会でしたが、虫好きの子どもたちは元気そのもの。今回の観察会場は市野谷の森の西端にある、一本桜広場近くの原っぱです。途中の林縁で、綺麗な緑色をしたウスタビガの繭を発見したり、樹間で網にかかったアミガサハゴロモを食しているジョロウグモを見たり、黒くて奇妙な姿のイモムシ(セスジスズメというガの幼虫)を見つけたりしました。草はらに到着後、講師の川北先生によると、バッタなどの昆虫は草丈の違いによって棲み分けをしていそうなので、その点を頭に置いて観察することにしました。まずは芝生など、草丈の低い草むらから昆虫を探していきます。「あんまりいないなぁ」と言ってるうちに、大きなショウリョウバッタのメスが飛んだのをきっかけに、同オスも虫捕り網に入ります。立派なトノサマバッタも見つけました。次に、草丈40cmほどの草むらに入っていった子どもたちは、次々に虫を網に入れ、川北先生のところへ種類の確認に来ます。センチコガネを見つけた子が急いで確認に来ました。動物の糞などを食べるコガネムシの仲間で、金属光沢のある体は個体や地域によっても色が異なる美しい“糞虫(ふんちゅう)”です。一方、草丈が高いところでは、ハラビロカマキリやクモヘリカメムシ、シオカラトンボ、キタテハ、ヒメウラナミジャノメなど、いろいろな昆虫を観察することができました。樹液が出ているクヌギの根元ではコクワガタもいました。帰りに大カシのところで川北先生のまとめのお話を聞いて、11時頃に解散となりました。
川北先生からバッタ類の棲み分けの説明
草むらで昆虫探し
草むらで昆虫探し
大カシ前で川北先生によるまとめのお話
ウスタビガの繭
※中身は空です。
セスジスズメの幼虫
ショウリョウバッタ
ツチイナゴ
キタテハ
センチコガネ
シロヒトリ
ベニスズメ
夏の生きもの観察④ライトトラップ参加(5日:23名/19日:34名)
毎年大好評をいただいているライトトラップ。新型コロナウイルス感染拡大に伴って中止や延期が続いていましたが、今年は天候にも恵まれ、予定通りの日程で開催することが出来ました。7月のホタル観察会同様、こちらも多くの方々に楽しんでいただきたいと思い、初の2回開催となりました。今回も、おおたかの森センター前に集合した後、森へと移動し、森の中の広場に設置したブラックライト(紫外線を放射するライト)と白熱灯に集まる昆虫たちを観察しました。開始約30分前からライトの点灯を開始していたため、すでにいろいろな昆虫が集まっていましたが、両日とも特に目を引いたのは、「アオドウガネ」という緑色のコガネムシでした。分布域が北上傾向にあるとされており、市野谷の森でも、数年前からよく見られるようになっていましたが、今年は特に凄まじく、19日には200匹近い数がシートを埋め尽くしました。さらに「チャバネアオカメムシ」という緑色のカメムシが次いで多く、推定50匹以上が集まる結果となりました。(これはなぜか5日にはあまり見られませんでした。)
そのほか、子どもたちに大人気のカブトムシやコクワガタのほか、頭部に小さな角のあるコガネムシ「コカブト」、変わった名前のコガネムシ「ドウガネブイブイ」、体色がメタリックグリーンの「アカアシオオアオカミキリ」、表の後翅が美しいガ「キシタバ」と「コシロシタバ」、鮮やかな水色をした大きなガ「オオミズアオ」、見た目が折れた枯れ枝のようなガ「ツマキシャチホコ」、ギンヤンマ、などが見られました。ギンヤンマは水辺ではよく見られますが、森の中にまで現れたことにはとても驚きました。
ライトトラップの装置(8/5)
ライトトラップに集まった昆虫たち(8/5)
※多くがアオドウガネ
ライトトラップにきた昆虫たちを観察(8/5)
左から順に、アオドウガネ・コフキコガネ・ドウガネブイブイ(8/5)
コカブトのオス(8/5)
カブトムシのオス(8/19)
コクワガタのオス(8/19)
アカアシオオアオカミキリ(8/19)
チャバネアオカメムシ(8/19)
ヒグラシ(8/19)
キシタバ(8/5)
コシロシタバ(8/19)
ツマキシャチホコ(8/5)
オオミズアオ(8/19)
夏の生きもの観察③夜の森を舞うホタル参加(29日:29名/30日:35名)
昨年は新型コロナウイルス感染拡大に伴い、中止となってしまったホタル観察を今年は無事に開催することができました。今年は少しでも多くの方々に参加してもらいたい、という想いから、初めて2日間続けて実施しました。例年と同じく、19:00に初石公民館に集合し、観察会場となる西初石小鳥の森まで歩いて移動します。19:30くらいになると、森の中にある沼から小さな光がポツポツと現れ始めます。光ながら森の中を飛び回る個体(主にオス)、水辺の草の上でじっと光っている個体(主にメス)などがいて、“星空みたい!”と歓声があがります。2日間とも、月が明るく、風が少し強かったせいもあってか、個体数はやや少なめではありましたが、3~40匹ほどのヘイケボタルを観察することが出来ました。林内の通路沿いに設置されている杭のロープ部分では、羽化中のアブラゼミとヒグラシが見られました。殻から少しずつ体が出てくる様子は大人も子供も魅入ってしまいます。そのほか、ノコギリクワガタやコクワガタ、ヤブキリ、ハヤシノウマオイ(声)、オオゲジ、ニホンアカガエル、カラスウリの花など、夜ならではの生き物をいろいろ観察することができました。
19時に初石公民館前に集合(7/30)
西初石小鳥の森の入口でホタル観察の注意事項などを説明(7/30)
羽化真っ最中のヒグラシを観察(7/30)
草むらにいた昆虫やニホンアカガエルを観察(7/30)
ヘイケボタルの光(7/30)
ノコギリクワガタのオス(7/30)
羽化中のヒグラシ(7/29)
羽化直後のヒグラシ(7/29)
羽化前のアブラゼミの幼虫(7/30)
羽化直後のアブラゼミ(7/29)
夏の生きもの観察②セミたちの羽化(参加54名)
セミの羽化観察会はNPOさとやまとしては初めてです。まだ明るい18時30分にキッコーマンアリーナ前に集合し、案内役の小林理事から、セミについての説明がいろいろありました。あたりが少し暗くなってきた頃、SL広場を越えて運動公園の木立の中へ移動します。早速、子どもたちが地面の丸い穴から出てきたばかりのミンミンゼミの幼虫を見つけました。アブラゼミの幼虫と似ていますが、触覚の節の長さなどで見分けられます。小道の縁石につかまって羽化し、すでに翅が伸びているニイニイゼミを見つけた子が、みんなを呼びます。サクラの木に登り始めたアブラゼミの幼虫は、意外に速く登っていきます。(およそ10分間で1mくらい登りました。)。穴から出てきて、木にたどり着く前に息絶えそうなニイニイゼミの幼虫がいて、見ていた男の子が「あ~、せっかく出てきたのに頑張れ!」と励ましていました。別の木では、ニイニイゼミの幼虫が木の根元近くの低いところで羽化を始め、「頭が出てきたぁ!」と歓声が上がります!その木を囲むようにして、子どもたちがジッと羽化の過程を注視し、完全に羽化して翅が伸びきるまで1時間近く、ずーっと観察を続けていました。セミの羽化の始まりから終わりまでを観察したのは多分、初めてのことだったのでしょう、本当に熱心に観察していました。
キッコーマンアリーナ前に集合
セミの生態などについて説明をする理事の小林リーダー
羽化するセミをじっくり観察
穴から出てきたばかりのミンミンゼミの幼虫
穴から出てきて木に登るアブラゼミの幼虫
羽化が始まったアブラゼミ
ハリエンジュの葉の裏にアブラゼミの抜け殻が沢山!
ニイニイゼミの羽化
羽化直後のニイニイゼミ
羽化し終えたばかりのニイニイゼミの成虫
夏の生きもの観察①森の昆虫(参加55名)
6月早々の異例の台風が通り過ぎた後、この日は良いお天気に!手に虫捕り網を持った子どもたちが集まりました。講師は、おなじみ川北 裕之 先生で、この日のテーマは「昆虫の変態」。例えば、チョウの幼虫は何回も脱皮を重ねてサナギに変わり、最後に現れた成虫はそれまでとは、まったく異なった美しい姿をしています。昆虫の繁栄の秘密はこうした完全(不完全)変態にあるらしい、ということで、成虫だけでなく幼虫も合わせて観察しました。森の近くにある草木の茂みでは、ウラギンシジミを捕まえて観察。その後、アカスジカメムシ、ヨコヅナツチカメムシ、エサキモンキツノカメムシなどの色々なカメムシ、ヤブキリの終齢幼虫などが見つかり、川北先生が手に載せて皆に見せてくれました。林縁のエノキの葉の上では、外来種のアカボシゴマダラの幼虫が見つかりました。角があり、ナメクジのような面白い形状のイモムシです。エノキはいろいろな昆虫の食草になっていて、チビタマムシの一種も見つかりました。ナナフシ(幼虫)も木の葉の上で次々に見つかりました。ナナフシは不完全変態で幼虫と成虫の姿があまり変わらないため、幼虫でもナナフシだと分かります。さらに、1年のうち、この時期にしか現れないアカシジミなどを観察することもできました。そんなとき、幸運なことに、すぐ上空をオオタカが飛んで森へ入っていくのが見られました!この後、森の中の広場に行って観察を続け、オオヒラタシデムシやザトウムシの一種などを見つけたりしました。森の中での観察後、大カシ前で川北先生から"昆虫の変態"についてのお話などを聞いてから解散となりました。
市野谷の森の林縁で昆虫探し
捕まえた昆虫を観察
市野谷の森の中で昆虫探し
川北 先生と森の中の昆虫を観察
川北 先生の"昆虫の変態"についてのお話
アカスジカメムシ
アカボシゴマダラ(幼虫)
ヨコヅナツチカメムシ
エサキモンキツノカメムシ
ザトウムシの一種
知って楽しむ野鳥の声♪野鳥の鳴き声、その謎と魅力(参加60名)
キビタキやホトトギスなどの夏鳥が市野谷の森にやって来る季節。今年は野鳥の鳴き声をテーマに講座を開催しました。講師は、中学3年生のときに日本野鳥の会主催の「鳴きまねコンテスト」で日本一になったことがある、井の頭自然の会代表の鈴木 浩克 先生。講座の初めに早速「キョキョキョ」とヨタカの鳴き真似を披露。まさにヨタカの鳴き声そのもので、みんな聞き入りました。以前は声と姿が取り違えられていた、ブッポウソウとコノハズクの鳴き真似のとき、コノハズクの鳴き真似に小学生の女の子がすかさず正答して、参加者を驚かせました。この後、鳥の“さえずり”と“地鳴き”についての詳しい解説、人間の耳(脳)は聞こうとした音だけを聞きとる機能を持っていること、鳥の鳴き声をカタカナで書き表すことの難しさ、鳥の“聞きなし”(例:センダイムシクイという鳥の声は「焼酎一杯ぐぃー」と聞こえる)などについて、とても分かりやすい説明が続きました。約90分間の座学の後は、市野谷の森の林縁を歩きながら野鳥を観察しました。天候が悪く、観察できた種数は少なく残念でしたが、参加者が通り過ぎた後の電柱にイソヒヨドリのオスが飛来したり、ハクセキレイがイモムシを捕えるところが見られたりしました。森の中からはヤマガラの声、遠くの空からはヒバリのさえずりも聞かれました。
"知って楽しむ野鳥の声♪"(おおたかの森センター ホール)
鈴木 先生による野鳥の鳴き声講座
市野谷の森の林縁で野外観察
市野谷の森の林縁で野外観察
市野谷の森の林縁で解説をする鈴木 先生
電線に停まったイソヒヨドリのオス
イモムシ(ガの幼虫)を捕えたハクセキレイ
電線に停まるスズメ
春の樹木(参加24名)
おおたかの森センターの周りや市野谷の森の林縁部を歩いて春の樹木の観察をしました。講師は、元・茨城県自然博物館の主席学芸員で「樹木博士入門」などの著書もある、小幡和男 先生。子供3名を含む24名が参加されました。この時期は樹木の花が咲き、新葉が一斉に伸びだす季節です。2月の冬芽の観察会で観察した樹木たちはすっかり姿を変えていました。イロハモミジの雄花と両性花、雌雄異株のコクサギ、アオキ、サルトリイバラ、雌雄同株のイヌシデの雄花と雌花、ウワミズザクラとイヌザクラの違い、クヌギやコナラの垂れ下がった雄花と小さくて目立たない雌花、コブシの冬芽から葉が展開する様子など、多くの樹木を観察しました。アカメガシワの伸びだしたばかりの新葉は赤い毛が密生していてザラザラしていますが、セロハンテープを貼って引き剥がすと、赤い毛が剥がれて緑の葉が現れたので、子供たちもビックリです。アケビとミツバアケビは同じアケビ科のツル植物ですが、花や葉の形は随分と違います。草本も含め、全部で33種類の植物を観察しました。
ルーペの正しい使い方の説明
実物とイラストでサクラの花を詳しく解説
アベマキの葉を観察
コクサギの葉の付き方を教えていただきました
林縁でいろいろな樹木を観察
林縁でいろいろな樹木を観察
イロハモミジ(雄花)
ウワミズザクラ
コクサギ(雄花)
コクサギ(雌花)
サルトリイバラ(雄花)
サルトリイバラ(雌花)
クヌギ(雄花)
コナラ(雄花)
コブシの新葉
アカメガシワの新葉
アケビ
ミツバアケビ