さとやまで開催されたイベントの報告(2025年4月〜2025年4月)です。2021年3月以前はこちら
講座「渡り鳥たちのフシギ なぜ渡るのか、どういうルートをたどるのか」(参加65名)
おおたかの森センターで、野鳥研究の第一人者で東京大学名誉教授の樋口 広芳 先生に講演をしていただきました。毎年春には、市野谷の森にもキビタキが来て、市内にはサシバも渡ってきます。最近はほとんど見られなくなりましたが、江戸川沿いの新川耕地にはムナグロやチュウシャクシギなどが渡りの中継地として利用していました。何千キロも北へ南へ渡っていく鳥たちは、何故そんな行動をとるのか、どういうコースを辿るのかといった、たくさんの“なぜ”を下記5テーマに分けて話していただきました。 ①渡る鳥と渡らない鳥 ②鳥の渡りを追う仕組み ③驚きの渡り事例 ④渡りと気象 ⑤経路はなぜ種によって違うのか ここではハチクマの渡りコースについてご紹介します。秋、南に渡るルートは、九州を経由して東シナ海を横断⇒中国本土の海沿いに南下⇒マレー半島を南下⇒ボルネオやジャワなどに行き着きます。春、日本に戻ってくるときは、インドシナ半島までは秋のコースを逆にたどりますが、その後は、中国内陸部を北上⇒朝鮮半島⇒日本へと戻ってきます。往復で2万数千キロの旅です。秋と春のコースが異なるのは、秋は東からの風に乗って一気に海を渡りますが、春は逆風になるため、朝鮮半島経由を選んでいるからだそうです。ちゃんと気象を読んでいるのですね。
※7年間にわたって衛星追跡されたハチクマ1個体7年間の秋の渡り経路(1本の線が1回の経路)
樋口 広芳「鳥ってすごい!」(2016:山と渓谷社)より
講座の様子
樋口 広芳 先生のご講演
道ばたの野草(参加14名)
自然観察大学の小幡 和男 先生を講師にお迎えし、市野谷の森周辺の道ばたに生えている春の野草を観察しました。最初に、おおたかの森センター前の小さな植え込みに、どんな野草が生えているか数えてみると、オランダミミナグサ、ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)、キュウリグサなど、ここだけで20種近くの野草がみられました。オオイヌノフグリとタチイヌノフグリの違い、タネツケバナとミチタネツケバナの違いなど、似た種類の違いを観察したり、つくしの根元を掘ってスギナとつながっていることを確認したりしました。次に、おおたかの森センター横の土手で、メマツヨイグサ、ブタナ、ハルジオン、ヒメジョオン、オニノゲシなどのロゼットを観察しました。ロゼットとは、冬から春にかけて寒さを避けるため、地面に広がる野草の葉の形で、バラの花のように見えるところからロゼットと呼ばれています。柿園横の草地では、クサノオウやトウダイグサの茎を切ってネバネバした汁が出るところを観察しました。森の中では、ウラシマソウの花を観察しました。最初は雄花だったのが、成長すると雌花になるという不思議な性質(性転換)について知りました。漢方薬の元になるヤブランやジャノヒゲの根を掘って比べて見たり、ノビルの球根を掘りだして皮を剥いで試食したりと、体験型の観察会でした。短い時間でしたが、43種の植物を観察することができました。
ヤハズエンドウとスズメノエンドウの違いを観察
ヒメオドリコソウとホトケノザをルーペでじっくり観察
小幡 先生によるヒメオドリコソウとホトケノザ解説
ジャノヒゲとヤブランを観察
スギナ(つくし)
ノボロギク
ヤハズエンドウ(別名:カラスノエンドウ)
セイヨウタンポポ
メマツヨイグサのロゼット
オオイヌノフグリ
ヒメオドリコソウ
クサノオウ